「シリコーンゴムの積層型」

シリコーンゴムによる型取りで簡単な方法と言えば枠の中にゴムを流し込む方法なのですが、シリコーンゴムは高価なものですしゴム型を合わせてから注型素材が流れ出ないようにゴムなどで縛ると僅かに変形します。シリコーンゴムを節約して尚且つ正確に複製品を作る方法があります。

シリコーンゴムをガーゼを間に挟み込んで積層して、ゴム型の周りを別素材で囲んでしまう型取り方法です。別素材と言うのは石膏やFRPなどの事です。ジャケットやバックアップと呼ばれています。ハリウッドの特撮や特殊メイクの世界ではポピュラーな方法で、長年使用されているテクニックなのです。

シリコーンゴムの特性だけでなくバックアップに使う素材の知識も必要になりますから難易度は上がります。ハッキリ言って難しいですし、面倒臭いと感じると思います。しかしシリコーンゴムの量は少量で済みますし本当に正確な型取りが出来るのです。

この項目ではシリコーンゴムを少量使用して薄く丈夫な型取りの方法を解説します。

型のベース板はホームセンターのカットコーナー横などに端材が売られていますから時々チェックしています。上手くいけば30センチ四方の厚い板が100円程度で手に入ります。(使っているのが100円の端材です)

粘土の土手を2段モールドで仕立てます。

粘土の板を定規とカッターナイフを使って細い板状に切ります。新品の粘土をカットすると簡単ですが、キレイな板になるように使い古しの粘土を伸ばせば使用できます。

2段モールドの外側に細く切った粘土を立てて並べてから、粘土を食い付かせて隙間を埋めます。シリコーンやジャケット(バックアップ素材)の流れ止めの土手になります。シリコーンなどの素材が流れていくと作業に集中できませんから土手は絶対に必要だと考えています。

流れたものが一番溜まりやすい低い位置の土手は高くしておきます。

粘土の土手にはバリアコート(シリコーンの離型剤)を塗って乾燥させます。粘土からシリコーンが剥がれ易くなります。

積層用のガーゼを準備します。ガーゼは正方形に折り畳んだ状態で売られています。この折り目が積層作業の邪魔になります。折り目を全部切り離してしまいます。

さらに正方形大小・長方形・三角形などにカットして準備しておきます。シリコーン作業の前にはこれらを一枚一枚バラバラにして並べておくと便利です。シリコーンで指や筆がベタつくので、すぐに取り上げられるようにしておきます。

大きな造形物なので分割作業しています。ヘルメットの正面だけを積層している作業風景です。

シリコーンを必要部分に塗り付けて薄く仕上げます。土手に垂れてきたシリコーンは筆ですくい取って、もう一度上から掛けて…繰り返し作業になります。長く糸状に伸びていたゴムが太くなり始めたら硬化が始まった合図です。ゴムが垂れて来なくなったらベタつきが有る間にガーゼを貼り込んでいきます。貼り込んだガーゼが少し重なるように並べていきます。小さく切ったガーゼを上手に組み合わせて隙間なく埋めて行きます。

今回は3等分作業ですから右後頭部の貼り込みです。最初に塗り付けるシリコーンは2ミリ厚くらいです。薄過ぎると複製品にガーゼの布目が出ますから、薄いと感じたら厚塗りします。

繰り返し上掛けして作業しますので実は気泡が潰れて行くんです。そういう意味でも正確な型取り作業と言えます。勿論、不用意にゴムを練り込んだら気泡が発生しますよ。

全面にガーゼが貼り込まれた状態になったら、上掛けのシリコーンを塗り込みます。上掛けの仕上げ塗は1ミリ程度で終わらせています。ガーゼの上に塗るのでシリコーンゴムは垂れにくいので作業し易いです。

ガーゼが全部隠れたらシリコーンの積層型は完成です。

気泡が無いか確認したいところなのですが…シリコーンを剥がしてしまうとジャケットが合わなくなって正確な型取りになりません。見たいところですが我慢します。

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